[ 倉木麻衣「ALL MY BEST」 ]へのコメント
textes/批評/音楽
signesさん、こんにちは。
前回「倉木麻衣はオヤジたちの華か?」の続きとなります。
私も10日に"All my best(初回限定版)"を購入しました。少し驚きましたが、60才位の男性も同時に買われていくんですね。販促PVで"わたしの、しらない、わたし。"の歌謡曲的メロに引かれてるのでしょうか。
CDにプリントされている麻衣さんも素敵。30年前の全盛期アイドルみたいで私たち男性の心が和みます。
中身ですが、幼少期からピアノを通じて音楽に親しんできた私からみても、耳当たりの良いJ-POPSを収めていると思います。
聴き通してみて、楽曲をリリースするごとにまるでショートムービーを観ているかのような錯覚に陥るほどの表現力に驚かれたのではないでしょうか。
さて、signesさんは"Love,Day After Tomorrow(以下ラブデイ)"が苦手でいらっしゃいますか。彼女を音痴と思いたくないのですが、やはり私もサビの「C音」はファルセットっぽくなり、表現力に欠けると思います。
しかしながら、ラブデイは麻衣さんをイメージづける曲です。
私は初めてラジオで知った時の「こんな声域・声量が小さくて無名の高校生である彼女自身が作詞した曲がトップに上り詰めるなんて」という衝撃は今でも忘れられません。やがて楽曲の素晴らしさと捉え所がないのに何度も何度も聴きたくなる声に私自身が圧倒され、引き込まれていったのです。
高名な少数の専門家に依らず、楽曲制作の情熱にあふれた既存の常識にとらわれない良い意味でアマチュアリズムを持った人が寄ってたかって面白がって作ったらこんな素晴らしい楽曲が出来た、というプロセスを経てきたに違いありません。
次に、DVDでお気付きになりましたか。Liveでラブデイを歌うとき、振り付けで観客のファンと一緒に「L・O・V・E」の指文字を作るんですね。これも彼女のスタンスで画期的だと思います。パフォーマンスを一方的に見せつけるのではなく、音楽をファンと一体になって創り上げていくことによって感動が生まれる。彼女はLiveを大切にします。歌唱力の不安定さやパフォーマンスが吉田美和さんら他アーティストに比して劣っているのは私も否定しません。 それでも、Liveを通じてファンら理解者に支えられて成長し続ける自然体の人間・倉木麻衣の圧倒的な存在感を映像で体感して頂きたいのです。
先述しましたが、麻衣さんは高名な専門家を介さず、私たちとの直接的な繋がりを大切にする発展途上のアーティストだと思います。麻衣さんはsingerとしての天賦の才はありませんが、彼女自身の努力と、時代の変化を先取り私たちファンのパワーを上手くシンクロさせてトップアーティストになり、今後の音楽産業の成功モデルたる地位を確固にした、と私は考えます。ただ、デビューが性急すぎてファンが男性に偏っている(いわゆる"オヤジたちの華"!)のはレコード会社のミスかもしれません。
ところで、私も"Season of Love"は大好きな曲です。アナクロと言えなくもないですが、イントロを聴いた瞬間、ラブデイと同じ空気感に懐かしさを覚えました。メロは私が少年期に憧れた林哲司先生のサウンドメイキングに似ていると思います。加えて、「たやすく自分から目をそらさないで」「たとえ振り向いても歩みを止めないで」のフレーズ、彼女が伝えたい思いがひしひしと私に伝わってきます。
私は、他に"Revive"がメッセージソングとして好きで、個人的に大野愛果さん作曲の情感豊かなメロに引かれます。望月由絵さんはどちらかと言えばきらびやかで若者受けな感じがします(筒美京平先生っぽい)。
"All my best"収録曲以外のカップリング・アルバム曲にも名曲が多いですから、これをきっかけに皆さんが旧作に関心を広げて下されば、嬉しいですね。
"All my best"はオリコンチャート初登場1位を記録し、これで"Wish you the best"までと"touch Me!""All my best"のアルバムが1位となりました。これは偉いです。極端なまでにmediaへのexposureを抑えて、トップアーティストの地位を築けるものでしょうか。経済を学んできた私にとっても非常に興味深いです。後日、これらについて考察を入れてみたいと思います。
(09/9/22 23:02)
Res
classy0819さん、こんにちは。
丁寧に練られた書き込みをありがとうございます。
> 彼女はLiveを大切にします。歌唱力の不安定さやパフォーマンスが吉田美和さんら他アーティストに比して劣っているのは私も否定しません。 それでも、Liveを通じてファンら理解者に支えられて成長し続ける自然体の人間・倉木麻衣の圧倒的な存在感を映像で体感して頂きたいのです。
そうですね。他のアーティスト、特にavex系の演出過剰なパフォーマーに比べると、倉木麻衣は驚くほど自然体で、たぶんわずかに気まぐれっぽく表層的で(でもまじめで、誠実ではある。)、軽やかな性格も、本当にふつうの女性のイメージです。
一般の女性の観衆にとっては、確かに彼女には「見習うべき・憧れるべき、トレンディな特異性」が欠如しているのかもしれません。
>極端なまでにmediaへのexposureを抑えて、トップアーティストの地位を築けるものでしょうか。経済を学んできた私にとっても非常に興味深いです。後日、これらについて考察を入れてみたいと思います。
かつてはテレビ番組を持っていたようですが、あがり症とまで言わないまでも、ややそういう露出の仕方が苦手なのかもしれませんね。よくわかりませんが。
ごく最近になって、ようやく「ミュージックステーション」だの「笑っていいとも」だのにも初出演を果たし、少しスタンスを変えようとしているのかな、と思っています(テレフォンショッキングは単に呼ばれただけですが)。
個人的には、まあテレビはどっちでもいいけど、音楽面ではこれまでどおり、古くて懐かしく、親しみやすくて「空気のように」なじんでくるような、不思議としなやかなこのPOPミュージックを展開し続けてほしいと考えています。
ニューアルバムは来年の初めくらいかな? とても楽しみにしています。(「Revive」はニューアルバムにとっておいたんですかね?)
望月由絵さん流のやや新しめのサウンドと、大野愛果さん的なオーソドックスに日本的な歌謡メロディが、何の違和感もなく同居していく。この路線の展開に期待しています。
(09/9/23 19:28)
Res
2229710