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亀裂 KIRETSU feat. 結月ゆかり

musique/composition/声楽曲

written 2019/3/21


※音楽作品はモバイル版では現在提供できません。


 久々に作曲したのは、割と平凡なスタイルの聴きやすいボカロPOP「亀裂」だ。
 昨年後半から新しい生活スタイルを模索し、iPadを購入して、アプリ「KORG Gadget」「mobile Vocaloid Editor」等も準備した。これまではデスクトップパソコン(iMac)により自室に引きこもって行ってきた作曲活動が、モバイルへと以降した。居間や寝室で寝転がってでも作曲できるし、ファイルをクラウドで共有すれば、スマホを使って出先でも電車の中でも作業可能だ。
タブレットは初めて使うのだが、アプリもかなり豊富にそろってきていて、色んなことが出来るようになりつつある。もっとも、それでもまだまだパソコンほど何でも出来るわけでないから、パソコンも手放せない。タブレットは基本的にキーボードが無いからショートカットキーが使えないのも痛い。パソコンとタブレットは、それぞれに異なる役割を分担して今後進歩して行くのだろう。

 さてiPad、iPhoneなどで使えるDTMアプリ「KORG Gadget」。これによる楽曲の制作は16小節以内の楽節ブロックを単位として組み合わせていく考え方である。ブロックごとに拍子を決められるので、アップルオリジナルのiOS版Garage Bandと違って変拍子が可能だが、ブロックの範囲を超えて一発で録音するようなことは出来ない。
 色々DTMアプリは出ているようだが、私の要求をすべて満たすような物は無さそうだ。やはりパソコンのLogicなどのように「ほとんど何でも出来る」のは難しいのだろう。
 ループを基本にしたクラブ系、エレクトロないしポップ系音楽の制作では、このKORG Gadgetはなかなか良いものかもしれない。

 今回はこのKORG Gadgetをメインに、ボーカルをmobile Vocaloid Editor(+結月ゆかりを追加購入)で作成した。最後のミックスのみデスクトップのiMac+Logic proを少し使ったが、それ以外は全てiPad及びiPhoneで作業した。
 まだアプリを使い慣れていないこともあって未熟な部分があるが、聴いてみて下さい。
(なお、動画は完全にiMacで作ったもの。)

楽曲ファイル: http://www.signes.jp/musique/Vocal/KIRETSU.mp3

楽譜(コード付きヴォーカル譜): http://www.signes.jp/musique/Vocal/KIRETSU.pdf

 
  この曲は最近私が考えてきたポピュラー音楽の「パロール」の作法を意図している。基本的には「昨日も社会で語られていたようなやり方で言語を使用する」という前提を守り、その上で幾らかの「発明」的アイディアも加える(特に組み合わせの妙として)ような形だ。
 今回はときおり自分で歌ってみたりもしながら旋律を書いた。シンガーソングライターはそのように作るので、もっともっと真似した方が良かったかもしれない。
 構成は普通にAメロ、Bメロ、Cメロ(サビ)と付置され、2度目のサビの後で入るDメロはちょっと変わっており、クラシックで言う「中間部」に相当する部分になる。明らかに長調になるこの新奇な部分、およびその直後の3回目のAメロはボーカルの背後でストリングスやピアノがサビ主題モティーフの変形を奏でている。そこは対位法風なので、一聴しただけではよくわからないだろう。
 何とか歌えなくもない程度に転調も入っている。個人的には、変ホ短調から嬰ハ短調に移行する部分が、調号が多くて作っていてわくわくした(もっとも、長2度下に転調するだけなので、そんなに難しくもない)。

 歌詞は、ポップなら本当はもっと一般的なシチュエーションにしてわかりやすく・共感しやすく書くべきだったろう。今回の歌詞は私小説的だ。結構誇張・創作なども入っているので全くリアルなわけでもないが。

 今回失敗だったのは、作成中iPadで聴きながら作業していたが、ミックス段階で音源をPCで聴いてみると響きがまるで異なっていたことだ。ヘッドホンやイヤホンは長時間使うと耳が痛くなるので嫌いなのだが、音の良いスピーカーにつなぐなどして楽曲アレンジを進めた方が良さそうだ。今回はその点、最後に出来た音源に自分でも若干違和感がある。


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