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「Monetary Nature」を公開

textes/notes/音楽

written 2013/6/22


 管弦楽を書くためには勉強と経験が絶対に必要なのだが、私は両方ともそなえていない。だからオケはあまり書かずにいつもエレクトロニクスで我慢しているのだが、今回は久々にオケに挑戦した。子どもの頃から私の最も好きなフォーマット、ピアノ協奏曲である。これまでで最も長い12分半。さすがに作るのに時間がかかった。
 タイトル(「Monetary Nature = 貨幣性」)は先日書いた文章に関連している。自己生成的な非-意味の「系」をつくり、奔放に走らせた。ウェーベルン風に3音ずつ「組」で区切った12音セリーが主題である。

 3つずつ「組」なので、グループaの後にcが来たりdが来たり、自由に動く書法だ。さらに、各分子はa2-a1-a3などと順序が入れ替わることによって突然変異を起こしたりもする。
 私が自分の好みを押し出してメロディックな旋律を派生させ、これを繰り返して古典的な構成を印象づけるようなこともしている。

 音列と全く関係のない部分もたまにあるが、全体の2割に満たないだろう。ほとんどセリー作品と言ってよい。

Monetary Nature (Piano Concerto No.1)

掲載ページ: http://www.signes.jp/musique/index.php?id=814

2013/6/22完成 12分24秒

 問題は、こんな大編成の曲を作ってしまって、「楽譜」をどうするか、ということ。
 そもそも純粋なクラシック編成ならFinaleで作り始めて、あとからLogicで修正した方が楽譜作成には良かったのだろうが、当初エレクトロニクス音も入れるかもしれないと思っていたので、Logicで始めてしまった。今からFinaleで楽譜作成するのは、あまりにも大変である。気が向いたら作成するかもしれないが、どうだろう、面倒くさいな。
 そもそもこれはどんな規模のオーケストラなのか。トゥッティでピアノが埋もれない編成なら2管編成くらいの室内オーケストラが適当なのかもしれないが、それではちょっと金管の迫力が欠けるだろう。かといって、トランペットなどほぼ全パート、頻繁にdiv.で2声に分けているので、3管編成では割り切れない。4管編成ではピアノが埋まってしまうだろう。3管で、適宜演奏者を1人休ませたら良いのだろうか。この辺、オケに詳しくないのでよくわからない。

 敬愛するヤニス・クセナキス風に不協和音を駆使しているが、今回<貨幣性>ということで意識したウェーベルン的な<他者の音楽>の感触は結局今ひとつ得られなかった。私はやはり、ウェーベルンよりシェーンベルクに近い人間なのだろう。感情面が強すぎる・・・。
 そんな感じで、もくろんだところはあまり達成できなかったような気もするが、まあ、これまでの作品よりは一歩先に進めたかもしれない。


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