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しんかいぎょになりたい

textes/notes/音楽

written 2010/2/14


 昨日のつづき。愛する対象からの愛を拒絶しつづける、リルケの放蕩児のような自分の音楽にうんざりして、やはり絶望せざるを得ない日々だが、疲弊しながら行き着いたwebサイトで、素敵な音楽に出会って、感動した。
 ゆうさんの音楽、いいです。

website: http://loversinrubbersole.web.fc2.com/
ブログ:http://ameblo.jp/yuu-uta/
楽曲がいくつかフリーで聴けるサイト:http://yuu-uta.at.webry.info/

 たまたまtwitterで知った人なのだが、東京でカフェライヴなどの活動をされており、CDも販売されているプロ(セミプロ?)の方のようです。
 最新曲「しんかいぎょ」を聴き、その素朴な歌に衝撃を受け、心にしみわたるようだった。私の書く音楽(パロールに満ちた世界からは隔絶した、エクリチュールとしての音楽)とはかけ離れた、そうだ、これが、音楽だ。私が決して近づいていこうとしない街で、まさにいま歌われる歌、雑踏の中に生き続けている音楽とは、これなのではないか。
「しんかいぎょ」のほか、上記サイトで聴ける「さみしくなんかないよ」「わたげ」「シロップ」あたりが、私としてはアンニュイで特に好きだ。
 気取りも混乱もなく、よけいな病にゆがめられることもなく、あるいはそうした危機を乗り越えてゆく「音楽」、私の好きだったはずの「音楽」とは、たとえばこういうものをいうのかもしれない。そこには、人間(あるいは「大衆」と呼んでもいい)というものがほんらい持っているはずの、強靱な生のエナジーが脈打っている。しかもそれは人々とともに現に在り、在り続けるだろう。

 つまらない音楽しか「書け」ない私とはとおく離れた地で、人々の音楽がいとなまれつづけている。
 一方で私は沈み込んでゆくだけだ。
 しんかいぎょになりたい。
 しんかいぎょになりたい。


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