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倉木麻衣づくし

textes/notes/音楽

written 2009/5/6


 5連休、終わり。前半、昼間は家族と一緒に小ドライブなどしていたが、娘が昨日から熱を出したため、2日間じっと家にいることになった。
 まえにちょっと書いた「MySQLの文字化け問題」は、単に/etc/my.cnfの記述ミスだったようで、実はあっさり解決。しかし作曲する気もしないので、本を読んだり、CDを聴いたりしていた。
 こないだから聴いている倉木麻衣がメインだが、それとビル・ラズウェル、ストラヴィンスキーといった非常に食い合わせの悪そうなメニューでかわりばんこに聴く日々。
 ポピュラーミュージックを聴いたあとでクラシックを改めて聴くと、たいへん気持ちが落ち着くような、純粋な美しさに心奪われるような思いがするが、殊にストラヴィンスキーは、すばらしい。どうやったらこんな音が書けるのだろう。本当に、ピカソのデッサンのあの線とおなじように、音が光り輝く。そしてそれは何とも形容しがたく、言葉を超えてゆくのだ。
 ・・・が、ストラヴィンスキーについてはとりあえず置いておこう。

 このところ倉木麻衣さんのCDやらDVDやら、中古を中心にかなり集めた。
 改めて、彼女の音楽は、良質なPOPとして、とてもいいと思う。
 根っこに「R & B」があることになっているが、実はこの「R & B」って言葉は何を指しているのかよくわからない。一応、ブルースのテイストの強い、従ってアメリカ黒人系のフレーバーを持った音楽、のロック版というふうにとらえているが・・・。
 だが彼女は声量がない。浜崎あゆみとか倖田來未に比べればはっきりと、迫力がない。むしろそれが彼女の特長で、「ささやき」に近い歌唱法が、楽曲の、ちょっとAORっぽいアレンジによく似合う。彼女のCDに「うるささ」を感じることはなく、ビル・エヴァンスのピアノようにBGMとして有効だ。つまり、その音楽は気張ることなく自然と「大人の音楽」の方向に向かっている。フュージョンで言うとフォープレイみたいな方向か。が、本当のAORにはならず、いかにも日本人らしい「歌謡曲」的情感を維持した王道POPとしてまとまっているあたりが、倉木麻衣のポジションである。
 ついでに言ってしまうと、歌唱力は歌手としては非常に高いわけではない。倖田來未と比較してしまうと、はっきり劣ると言わざるをえない。入念に仕上げられているらしいCDではばっちりだが、ライヴではときどき音が不安定になってしまうのが、DVDでわかってしまった。これはすごく残念だ。が、かわいいからゆるす(笑)。(DVD「MAI KURAKI LIVE TOUR 2008 」の2枚目および、「My Reflection」の2枚目参照。もっとも、浜崎あゆみもライヴ等ではよく音がはずれるように思う。)
 ライヴでも、落ち着いてバラードを歌っているときはいいのだが、ちょっと力の入りがちなブルース・ナンバー「Stand Up」(ライヴでよくやる曲のようだが)などでは、かなり音をはずしているように見受けた。この人は力を入れないで歌うのがベストなのに、ライヴだと余計な力が入ってしまうのだろう。
 本来「ささやき唱法」なのだから、マイクを近づけ、息をもらしながら歌うのが彼女のスタイルだ。ところがライヴではじっとしているわけにはいかず、動いたり、ちょっと気持ちがうわずったりした拍子に、息の微細な乱れがマイクをとおして増幅されてしまう、というわけだろう。実はこうした弱点は、BONNIE PINKさんにも感じたことがある。この人の場合はDVDでもほとんど動かずに歌っていたのでびっくりしたが、TV番組で見たら(紅白か?)、いつになく音が不安定だなあ、と思った。その点、声をふりしぼるような倖田來未とか、globeのKEIKOとかは、むしろ音が安定している(もちろん、彼女らのトレーニングも相当のものなのだろう)。
 このへんは、実はライヴ会場のセッティングとかDVD収録のための録音技術の方にも問題があるような気もしている。

 ということで、倉木麻衣さんのCDはとてもいいが、ライヴはどうか、という感想を持った。実際に行って聴いてみないと確かなことは言えないが・・・。
 もっとも、先に書いた、本日発売のバリバリ新作DVD「MAI KURAKI LIVE TOUR 2008 」の1枚目の方(touch Meツアーの方)は、結構いいです。こちらには音の不安定さとか、感じない(単に、こちらのディスクはオーディオトラックをエンジニアが入念に修正しただけかもしれない。2枚目と違ってかなり作り込まれたDVDだ)。最新アルバム「touch Me!」は従来のAORっぽさを控えめに、むしろ倖田來未の「かっこいい系」の曲に近いようなサウンドへの接近が新しく、かつ、とても成功しているが(ダンサブルでもうるさくない、不思議な音楽!)、このDVDの1枚目も満足すべき出来。珍しくミニスカートをはき、いつになく露出の多い衣装がキュートすぎる。しかし、値段が高かったよ・・・。

 ところで倉木麻衣さんと倖田來未さんは同じ1982年生まれ。倉木麻衣は16ー7歳でデビューしてしまったので、キャリア的には上だが(デビュー10周年ということだ)。
 この2人はいろんな点で対照的な感じがするが、血液型を見ると倖田來未さんが「いかにも」なA型で倉木麻衣さんが「やっぱり」なB型。(そういえば一時期私が好きだったthe brilliant greenのファニーなボーカル、Tommyもそうだった。)
 私はA型なので、傍にいるB型男性はなんとなく嫌いなヤツが多い。が、B型女性は嫌いではない。おおむね彼女らはファッション的にもセンスフルだし、ツルンとした顔の、キレイな方が多いような気がする。が、私とはなんだか話が合わない。最高に親しい感じになれない、というのは、こちらが何らかの緊張感を抱くからだろうか。ムカシB型女性とつきあったことがあったが、1ヶ月くらいで自然消滅してしまった。私にとってBの女性とは、「ノリはいいけど、いつの間にかクールに去っていく」女性ということになっている。なんだかよくわからないが、気がつくと勝手にどこかへと去ってしまっているのである。男ならゆるさないが、女性ならまあ、ゆるす。
 そんなわけで、倉木麻衣のイメージは、決して近づき得ない、どこか別の場所にいる女性。という勝手な像を描いている。
 こうした「イメージ」は本当は「音楽鑑賞」にはあまり必要ではない。イメージとか、映像(今は動画ばやりだから)と音楽との結びつきというものは・・・。いや、これについては今度書くことにしよう。


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