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スル・ポンティチェロ

textes/notes/音楽

written 2008/12/8


コンクール応募以後、CDでごく最近の国内外「現代音楽」に親しんでみたので、いつもより厳しく「現代的」なピアノ曲、「スティール・レインボウ」を書き、一昨日公開したところ。私のいつもの和声感を若干殺しており、無調らしい部分が多いので、今まで私の音楽におつきあいくださった方にとっても(特に現代音楽嫌いの方には)ちょっと好ましくない印象を与えたかもしれない。
が、公平に言ってこの程度ではまだまだ「現代音楽」らしさが足りないと思う。ほんとの「現代音楽シーン」にはこんなの、拒絶されるだろう。というのは、私は旋律を重視した書き方を放棄しておらず、漸進的に音高を上げながらクレッシェンドするやり方など、「あまりにも古くさい手法」などと責められそうだ。しかし、「最終的に旋律を発見する」ということが、他でもない、現在の私の音楽の核心なので、この部分はゲンダイオンガクの先生方にも譲るわけにはいかない。また、完全な無調は音楽を貧しくしかねないと思っているので、ときおり和声的になることを私はおそれない(今作はあまり和声的でないが)。
それじゃゲンダイオンガクにならん、というのならそれでかまわないと思う。ゲンダイオンガクなる「前衛主義」の方こそ、とっくに時代に取り残され、古びているんじゃないの? と、いつか反撃する日も来るかもしれない。一方では吉松隆「プレイアデス」みたいな安直路線にははまりたくないので、私の音楽は右派からも左派からも拒否される、コウモリ的孤独をまぬかれない結果となるのだ。
ともあれ、見定めた道があるときは、何によっても縛られたくはない。

さて、ピアノ曲を仕上げたので、次は無伴奏チェロないしヴァイオリンの曲を書いてみよう・・・としたところ、驚くべきピンチに遭遇した。
なんと、わがクラシック用ソフト音源「COMPLETE CLASSICAL COLLECTION」には sul ponticello の音が入っていないのだ。どこを探しても。・・・スル・ポンティチェロといえば、20世紀以後の弦楽曲にはよく出て来る、あのギロギロ、キュルキュルという感じの非人間的な擦過音で、駒のすぐそばで弓を動かすことにより生じるもの。
ま、これなんかはイロモノ的な音色だから、無くても我慢するか・・・と思ったが。なんと、ハーモニクス(フラジョレット)すら入っていないではないか。・・・んー、これでは弦楽器ソロ主体の曲はちょっと・・・。やっぱりソロ専用の音源が必要だったか。
けれども、よさそうなやつは6万円もするのだ。スコア作成用にほしいと思っていたソフト「フィナーレ」とほぼ同額。こんなのいつまでたっても買えない・・・。
結局、当分はピアノ・ソロか、せいぜい管楽器+ピアノくらいの編成でなんとかやっていくしかないか・・・。


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