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旋律の強さ

textes/notes/音楽

written 2008/2/19


「残酷な小曲集」の「ネウマ」「オルガヌム」と書き継いだとき、自分はとうとう、書きたいと夢想していた場所まで近づいたな、と感じていた。
熟達はしていないものの、方向性として、決着をつけるところが見えてしまったな、このまままっすぐ行けば、おしまいまで行ってしまうな、という感じを得たのだった。
しかしあえてそこで作曲をいったん休止してしまった。
いままた続きを書こうと考えているのだが、まだ楽想がまとまらない。

和声を超えた場所で、私は旋律そのものの「強さ」に逢着しようと考えている。
これは中世の音楽を玩味したことから発想していることなのだが、アルフォンソ10世「賢王」のカンティガ集や、13世紀から14世紀はじめ頃の作曲家、ジャンノ・ド・レスキュレルの音楽、さらに12世紀の女流作曲家(修道院長)ヒルデガルト・フォン・ビンゲンの曲に触発されたと言っていい。
特に最後のビンゲンについては、Sequentiaによる宝石のように美しいCDとの出会いが印象的だった。
つまり、私はフーガという構築性を破棄したところからポリフォニーの発端へと向かい、さらにはポリフォニーをいったん破棄したところから、旋律そのものへと向かおうとしていることになる。
とにもかくにも、私は和声の息の根を止めてやろうと思っているのだ。

しかし今回の実験はまだ先が見えない。いま始めたところ、だ。


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