残酷な音楽をめざして
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written 2007/12/9
しばらく公開しないで書きためておくつもりだった「新しい小曲集」、昨日から風邪をひいて体力が衰え、ある意味どうでもいいような気がしてきたので、既に完成している3曲を、もう公開してしまうことにします。
タイトルの「残酷」とは、アントナン・アルトーの「残酷演劇」から引いたもの。
<残酷の演劇>は、情熱的で痙攣的な一つの生についての概念を再び演劇に連れ戻すために設立された。強烈な過酷感、舞台の諸要素の極端な圧縮の感覚こそ、この演劇の基盤をなす残酷であると理解されなければならない。
アントナン・アルトー「残酷の演劇(第二宣言)」(1933)、白水社、安堂信也訳アルトーのこの「残酷」概念は、破壊的で炸裂的な彼流のキーワードであろう。それはどこか、原始的な衝動や呪術をイメージさせるものがある。そして私の考えでは、この概念はアンドレ・ブルトンの「痙攣的な美」からそう遠くはない。
私はなるほど、最近ルネサンス音楽に心惹かれているのだが、ここに公開した3曲は(特にPastoraleとInventionは)あまりルネサンスっぽくは感じられないだろう(教会旋法を感じさせる箇所以外は)。いつものように私は、現代音楽も含めいろんな要素をパレットの上で混ぜ合わせており、それは美と不快感/苦痛/不安の両極のあいだで揺れているように見えるかもしれない。
しかし、ここで多くを語るつもりはない。
私の「残酷な音楽」の探求は始まったばかりで、まだ理想的レベルにはほど遠い。私は音楽史的にはルネサンスをも飛び越えて、アルス・ノヴァやそれ以前の中世芸術にも遡行してみたいと思っているところだ。
ちなみに、今度からできるだけ譜面PDFも公開することにした。専用ソフトを持っていないので、あるべき休符が抜けていたり、音符が重なっていたりと、ずいぶん見づらいようだが、鑑賞の補助材料としてならじゅうぶんだろう。
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