フランシス・プーランク
textes/批評/音楽
written 2003/9/6
Poulenc, Francis (1899-1963)
いわゆる「6人組」のひとり。
通俗的ないし悪趣味なところもあるが、
それはそれで20世紀の音楽のあり方としてはアリだったんだろうな、という気がする。
サティ、ストラヴィンスキー、シューベルト、シューマン、
モーツァルト、なんでもごちゃまぜにしたような感じ。
しかも「エディット・ピアフを讃えて」なんて曲もある。
「偉大さ」からはこんなに遠いところで音楽をつくったことが画期的、
というか近代フランス的だ。コクトーの感性に近いかもしれない。
プーランクは主題を「展開」しない。
その音楽はあくまでも気まぐれで、「軽はずみ」だ。
それは重い音楽に対するアンチテーゼなのだろう。
・・・といっても、プーランクの感受性はとても豊かで、
その叙情性が大きな魅力となっている。
ピアノ曲は成熟期以降はほとんど手がけておらず、親しみやすい曲も多いけれど、
ちょっと飽きが来る味。
ベストはやはり歌曲で、宗教合唱曲ではまた違った一面。
(スターバト・マーテルなど)。
ピアノと18楽器のための、舞踏をともなうコンチェルト。 モダニスティックなするどい響きをもつ音楽で、初期の代表作。
世俗カンタータ「仮面舞踏会」(1932) 室内楽+声楽といった編成で、プーランクらしい曲。 これを聴くと「ふざけたやつだなあ」と思う。いずれにしても楽しい音楽だ。楽しさの中にも辛らつさが光っている。 君は夕暮れの火を見る (1938)叙情的な美しさの極北に到達した歌曲。
オルガン協奏曲 (1938)オルガンと弦楽、ティンパニのためのコンチェルト。プーランクのシリアスな傾向が強調された、オルガン協奏曲の傑作である。
ピアノ協奏曲 (1949)親しみやすいメロディーにあふれた名作。
歌曲集「冷気と火」(1950)プーランクらしい多様さ、美しさに満ちた代表的歌曲集。
歌劇「カルメル派修道女の対話」(1956)シリアスで悲劇的なストーリーを持つオペラ。
プーランクの宗教音楽的な側面が現れている。
この音楽を書きながら、登場人物たちに感情移入するあまり、プーランクはノイローゼのようになったらしい。
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