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パブロ・ピカソ

textes/批評/美術

written 2003/9/6


Picasso, Pablo (1881-1973)

20世紀芸術上の最大の天才。
スタートの時点からすでに、巨大な画家になるための素材を すべてもっていたのではないかとさえ思える。
ずぶの素人はよくピカソの絵はでたらめだから、 あんなもの自分でも描ける、と思うらしいが、とんでもない。 あんな絵は絶対に描けない。
確信にみちて断固としてひかれた描線が形作るあのフォルムは、 つねに驚きとポエジーを生み出すが、 そこに秘められた造形は古典的な意味で「完璧」なのである。
現実を愛した(というか、現実への欲望に満ち溢れた)この男は、 いつも現実世界の諸「対象」を絵の題材とした。
実際に対象を見ながら描いたデッサンは非常に的確で生き生きとしており、対象(モデル)を見ずに、頭の中にある表象を描いた多くの油彩画は、ときとして奇怪ながら、なおかつ適切である。ピカソにおいてはこの両者の間に実質上の距離はない。これは驚くべきことだ。
「対象」に固執し続けたピカソの絵画世界は、そういう意味ではクレーと好対照を成している。
青の時代、キュビスム、等とめまぐるしく変わるスタイルの変遷に惑わされてはいけない。ピカソそのものは常に不変だった。


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