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ロラン・バルト

textes/批評/哲学・思想

written 2003/9/6


Barthes, Roland (1915-1980)

構造主義を代表する思想家の一人。 シーニュやエクリチュール、神話などをめぐって、 非常に刺激的な思想を展開している。鋭い観察眼の持ち主であり、また、その文章は美しい。
バルトの著作ではときおりマルクス主義的な考え方が現れてくるところだけが気にかかる。鋭く展開されてきた言説が、その瞬間どうも屈曲してしまうように見えるのだ。・・・それはしかし、私じしんがマルクス主義とはあまりにも遠くはなれた地点にいるためかもしれない。
サルトルの影響をつよく受けているらしい。

神話作用 (1957)

レスリングや自動車、占星術など、日常的な諸現象への鋭い考察に魅惑される。この本は、私が書きたかった本だ。
現代の古典とするべき書物。

モードの体系 (1967)

当時のフランスのモード雑誌の言語表現を対象に、「記号学」の手法を縦横に駆使して、モード=衣服の流行の世界をとことん分析した書物。
用語の言語学的な分析から始まり、緻密かつやや冗長に解析が展開される。

表徴の帝国 (1970)

日本をネタに、エクリチュールについて書いた本。美しい書物である。

テクストの快楽 (1973)

この本は難解だ。ニーチェふうの断章形式を徹底させ、ロクに説明もしないまま次々とあたらしい術語を連発してくる。
決して明快ではないが、ときおりバルトらしい語り口に魅力を覚える。それにしてもクリステヴァを相当意識しているようだ・・・。

恋愛のディスクール・断章 (1977)

みっちりと分析しまっすぐに踏み込んでゆく書法ではない。だから、ときどき歯がゆくなる。
恋愛について、学的にとことん追求した書物ではない。 主題も視点も(あえて)陳腐なため、やや緩慢で退屈な感じにつきまとわれる。
しかし、バルトならではの鋭い分析が、ときおり閃光のように現れる。
ゲーテのヴェルテルへの言及が非常に多く、全体があの小説から生まれたものではないかという気もしてくる。


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