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グレン・グールド

textes/批評/音楽

written 2003/9/6


Gould, Glenn (1932-1982)

グールドのバッハに出会わなければ、私は対位法の世界に深く踏み込もうとはしなかったろう。この人のバッハは、今でも、私にとって特別な意味を持つ音楽だ。
クラシック界において極めて異色な変人ピアニストなのだが、今日、日本でも相当人気があるようだ。
構造のがっちりした曲を好み、とても細かく楽曲を分析しながら演奏している。その実、ロマンチックな感性も持ってはいるのだが。
殊に、対位法の各声部をまるで生き物のように弾き分ける技術は凄まじい。バッハの平均律等のピアノ演奏に関して、思うに、グールドに勝る者はない。
反面、R・シュトラウスの「ブルレスケ」とかいう珍曲を引っ張り出してきたり、後期モーツァルトを目茶苦茶にけなしたり、ほとんど偏屈としかいいようのない面もある。
演奏しながらもらすあの歌い声は、強調したい声部を意識せずに歌っているとのことだが、実は譜面にはまったく無いあたらしい旋律を勝手に歌っていることがあるようだ。


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